欠損金税制の全貌と実務の急所

 法人税務において「欠損金」の取扱いは、単なる計算上の赤字処理にとどまらず、企業の再建、組織再編、そしてグループ経営の成否を左右する極めて重要な論点です。2020年初頭から全世界で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、特定の業種を中心に甚大な業績不振や経営破綻をもたらし、その結果、実務の現場では多額の欠損金への対応が喫緊の課題として浮上しました。

 わが国の法人税法は、欠損金について10年間にわたる繰越控除や、中小法人等に対する繰戻し還付といった制度を設け、将来の所得との相殺による節税や過去の納税額の払い戻しを認めています。一方で、近年の税制改正の動向を概観すると、法人税率の引き下げに伴う財源確保の観点から、欠損金の控除限度額を所得の50%相当額に制限する(大法人向け)など、課税ベースの拡大に向けた見直しも段階的に進められてきました。さらに、租税回避を目的とした欠損金の不当な利用に対しては、複雑かつ精緻な個別規定(欠損等法人規制など)や包括的な行為計算否認規定が整備され、当局との間で解釈を巡る争いも絶えない状況にあります。

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