M&Aや大きなプロジェクトの組成が水面下で動いている際に、
『もうすぐLOIを締結します』
『MOUのドラフトを先方に確認してもらっています』
等の進捗状況の報告を受けることもあるかと思います。しかしながら、日常的に出てくる用語ではない「LOI」や「MOU」などの契約交渉の過程で作成される文書類について、馴染みがない方が多いと思います。
今回のコラムは、ビジネスの中でこれらの用語が出てきた際にも、怯まなくていいように、これらの様々な契約交渉の中で発生する文書を簡潔にまとめてみました。
契約条件の交渉プロセスの中で作成される文書
契約交渉の頭からお尻までをまとめたものが下図となります。それぞれで作成目的は異なりますが、共通しているのは、交渉条件のルールを決めたり、交渉状況の透明性の確保、さらには交渉相手との協議内容の認識の一致を図る手段である、ということになります。
アルファベットのオンパレードになってしまいましたが、それぞれの用語の内容は以下のとおりです。
それぞれの作成文書の目的や主な記載内容等
上記について、作成の目的や記載内容、法的拘束力の有無の観点からまとめると以下のとおりです。
上図に関して、Non-Bindingの文書については、必ず作成しなければいけないというものではありません。しかしながら、冒頭申し上げたとおり、取引条件の双方の認識について正確に文書として残すために、できる限り作成・締結に努めることが推奨されます。
なお、補足として、上記は一般的な実務慣行をベースとする説明であり、実際のところ、会社間の取り決めや会社の方針によって各社特色があるのが実情です。例えば、会社によっては、Term SheetがLOIとMOUの両方を兼ねていて、Term Sheetの締結はほぼほぼMOUの締結に近いものと位置づける会社や、LOIを合意書とみなすケース、MOUにBindingの要件を付与すると会社も存在します。
ですので、実際にはそれぞれの契約文書にどのような目的があるか、法的拘束力を持たせているか、等を確認するとともに、交渉の都度柔軟に対応していく必要があります。
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