イシューの見極めの重要性

以下は、コンサルファームでのアソシエイト向けの研修で良くある問いです。

ある有名ブランドが長期的な業績低迷に見舞われています。立て直しを図るべく、外部リソースも活用して、全社で立て直しを検討していますが、かつてのブランド力に陰りが見え始めているのは事実です。社内には新ブランドの必要性に言及する声も出始めています。さて、この状況において優先的に取り組むべきイシューは何でしょうか?

経営戦略のテーマとして、このような問題に直面することも多いと思います。如何でしょうか?

多くの研修の受講生は「これまでの実績を伴うブランドで戦い続ける」、または「新しいブランドを立ち上げて起死回生を図る」というイシューにどうしても目が向いてしまいます。確かに調査をするにしてもワクワクしますし、今後の社運を左右するほどの重要なイシューになるからでしょう。

ですが、これは一足飛び過ぎる、として研修ではお灸を据えます。そうです、まずはっきりさせる必要があること、すなわち真っ先に取り組むべきイシューは『ブランドがなぜ低迷しているのか』という原因分析なのです。恐らく、既存のブランドの存続か新しいブランドか、の問いであっても結果的に現状の分析から入るとは思いますが、まずはっきりさせておくべきことは低迷している理由になります。

海外のメーカーが参入してきてシェアを取られている場合、消費者に飽きられている場合、また市場自体がシュリンクしている場合で、次の一手が異なります。これを間違えると戦略まで間違えてしまいます。また、市場自体がシュリンクしている場合などは自社だけでどうしようもない可能性もあり、イシュー設定してしまって本当にいいのか、という議論も避けては通れません。

ちょっと頭が回る人であれば、方法論や解決策に頭が活きがちになります。つまり、イシューよりも仮説としての打ち手について熱く語りたくなります。特に会計士の場合、いわゆる処理については会計基準の実務指針に準拠すべき大方針が記載されているため、解釈論や適用する基準について話を持っていきがちになります。ここが、実務では足を引っ張ります。

写真:freepik.com

イシューとは「答えを出さなければいけないもの」であると定義されますので、その局面で答えを出す必要がない問題や、答えが出せる見込みのない問題はイシューにはなりえません。よって、真のイシューを見つけることができたのであれば、コンサルティング業務としては、かなり成功する可能性がグッと高まります。但し、ベテランコンサルタントでもさすがに見立てのないテーマであれば、イシューを特定するのは難しい。そこで様々な仮説立てをして、イシューを特定しに行きます。

今日のコラムは少し抽象的になってしまいましたが、「課題の対処方法を間違えて業績が低迷する企業」について、答えを出す必要があるイシューそのものが明確になっていないケースが多いです。特に社長が一人で経営面を切り盛りする中小企業であればなおさらです。我々はそういう社長の参謀、または経営の羅針盤として、今、「解決すべき本当のイシューは何か」の特定に全力でサポートしていきたいと考えています。

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