シンキングを整理する

書店に行くと所狭しと並んでいるのが「ロジカルシンキング」「論理的思考」などのシンキング系のジャンルの書籍です。本日(8/22)のビジネス系の書籍ランキングを見ても、この手のジャンルの本が2冊ランクインしています。(ちなみに1位は「マンガでわかる 必ず伝わる!ロジカル会話術」:船川淳志著:双葉社)

ところで、シンキングの中でも特にメジャーの2つ、「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」の違いって分かりますか?そもそも日常生活で出てくる単語ではないし、違いを理解している事が思考の前提にはならないので、別に知らなくても何にも影響はないですが、せっかくなので整理してみたいと思います。

ロジカルシンキング

いろいろな定義があると思いますが、大雑把に直訳すると「論理的思考」と訳されるように、考え方に筋道を通し、主張と根拠を論理的に説明する思考法と言えます。考えるにあたって事実を正しく認識し、因果関係も把握し、漏れなくダブりなく「言葉・物事の関係性を明確にする」という事が重要になってきます。

このロジカルシンキングの手段として、前回ご紹介したバーバラ・ミント女史が説くピラミッドストラクチャー(いわゆるMECE含む)や、ロジカルツリー、Why?を5回繰り返す「なぜなぜ分析」などが含まれます。

上記で触れたとおり、「主張」と「根拠」がこの考え方(シンキング)にとって重要になりますので、フレームワークとしても有名な「だから何?(So what?)」と「どうして?(Why so?)」がこのロジカルシンキングに属するのは当たり前、ということになります。意外とこの辺りの繋がりは意識されていなかったのではないでしょうか。

写真:freepik.com

クリティカルシンキング

個人的な話になりますが、なかなかこの単語を聞いてどういう思考法かピンと来ませんでした。その理由を考えてみると、なんとなくですが、Criticalの意味が「極めて重要」の意味で使われることが多いこと(例えば、打ち合わせの中でことの状況が深刻な時に「クリティカルな問題」と表現されるなど)、または「最短でプロジェクトを完了するための全工程」を示すクリティカルパスに代表されるように、重要性を伴うイメージが伴うから、というのがあると思います。

それに、私自身がゲーム世代ということもあり、「クリティカル」の単語の持つイメージとして、いわゆるクリティカルヒット(「会心の一撃」や「痛恨の一撃」等)と呼ばれる、通常よりも大きなダメージを与えるような攻撃をした場合などに用いられる表現の印象が強かったためだと認識しています。

前振りが長くなってしまいましたが、ここでのクリティカルの意味は「危機的」「重大な」ではなく、単語が持つもう一つの意味である「批判的」の方なんですよね。つまり、直訳すると「批判的思考」ということになります。
「これは本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えることで、最適な答えを見つけ出す、という意味で、

物事を鵜呑みにせず、批判的にとらえ、吟味を重ねる思考方法

と定義できます。

では、クリティカルシンキングは何ぞや?という点については、「本当にこれで良いのか?」と前提を疑う(批判的に考える)思考法と言えます。前例踏襲や慣例に対して疑問を投げかけることを意味します。そして、この思考法で必要な姿勢を要約すると、

1.目的は何かを常に意識する

「そもそも、今、このことについて考える意味はあるだったっけ?」
「本当の目的は違うところにあるのではないか」を常に意識すること
(イシューを常に意識する、とも言えます)

2.自他に思考のクセが存在することを前提に考える

「偏見や主観だけで考えていないか」ということを自問し続けること
人間誰しも思考にクセがあるし、感情が入ると意思決定を誤るという事実を認識する必要があるため、自分の判断に影響を与えている価値観や好き嫌い、思い込みを客観化すること

3.問い続ける

「Why?を5回」のなぜなぜ分析が生きてくるところで、何らかの結論に達したと思っても、そこで思考を止めず、さらに考え続けること
考えを止めないことがことの本質を見抜く唯一無二位の手段

の3つの基本姿勢があるとされています。

クリティカルシンキングは無意識のうちに実践されている方は多いのではないかと思います。ですが、このように定義を明確にすると、「そういうことか」と整理できたのではないか、と思います。

写真:freepik.com

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの関係

さらに、この代表的なロジカルシンキングとクリティカルシンキングをもう少し整理したいと思います。
ロジカルシンキングはいわば「ある情報について整理して分析し、複雑になっているものの因果関係を明らかにして1つの結論に辿り着く手段となります。主張と根拠を明確にしながら情報を整理していく手法と言っても過言ではありません。(もちろん、これ自体が難しいことですが・・・)

よって、結論が出てしまえば、ロジカルシンキングとしては役目を終えたことになります。

しかしながら、「その考え方がフィットしない」「間違っていた」というケースが多いのが実情です。その時の検証ツールとして、

『本当にそうなの?』

と、その導き出された結論を客観的に考え直す(批判的に疑う)という時にクリティカルシンキングの出番になります。

ロジカルシンキングに客観性を加える、という意味で、ロジカルシンキングとの組み合わせで最大限活きてくる思考法とも言えます。
逆に言えば、クリティカルシンキングでアイデアが出てくることってほとんどないので、事実を整理してアイデアを出す場合にはロジカルシンキング、ということも言えます。

写真:Unsplash

日頃の実務で、または日常生活で「今、ロジカルシンキングしている」「これからクリティカルシンキングするか」というような発想をすることはないと思いますし、そこまで強く意識する必要はないと思います。

ただ、昨今はコンサルタントでなくても、考える『お作法』としてこのような手法について当たり前のように実践されていますし、また書物やインターネット等で学ぶ機会も多いので、身に付けようと努力されているビジネスパーソンの方も多いと思います。

もちろん、「学んだからすぐにできる」という代物ではなく、実践・実務で鍛えていくしかないことがこの思考法のハードルの高さだと思っています。でも、そのような中で、このような組み合わせがある、ということを頭に入れておくだけで、意外とスッキリするのではないかと思います。個人的には、それぞれの必要性を説明できることになってから、部下・後輩に対するフィードバックで課題を伝えやすくなりました。

難しいからこそ、使いこなせるようになると、多方面で役立ちます。ぜひ、チャレンジし続けてください。

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