「Add value」の定義

「バリューを出す」「高い付加価値業務」「良質なアウトプット」

これらの用語は、コンサルティング業界では特に日常的に使われる用語であり、対クライアント向けのPRでも、自分たちの会社の売り込みに必ずと言っていいくらい使われる用語です。
私も過去にBig4のプロフェッショナルファームに在籍していた際、上司・先輩からの指導でこのような言葉を何度も聞いたし、自分のゴールセッティングで書いていました。また、成長して部下・後輩を指導する立場になった時も、定義が曖昧なこのような言葉を使って、かつての先輩方のように自分も雄弁に語っていたような気がします。

では一体、この「バリュー(付加価値)」とは何でしょうか。
そういうと、大体思いつくのが、

『クライアントから対価をもらうにふさわしい、意味のある仕事』

という表現になるでしょう。
でも、これでもまだ曖昧。「意味がある」とはどういうことか?という問いになると答えに窮してしまいます。質が高いという表現でも同じです。

そんな悩ましい定義付けに一つの解を示してくれているのが、マッキンゼーを経て現在、慶應義塾のSFC教授であり、ヤフーのCSOでもある安宅 和人さんの著書『イシューからはじめよ』で紹介されています。

『バリューのある仕事とは何か』
僕の理解では、「バリューの本質」は2つの軸から成り立っている。ひとつめが「イシュー度」であり、2つめが「解の質」だ。前者をヨコ軸、後者をタテ軸にとったマトリクスを描くと、図のようになる。

『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』
(安宅和人著:英治出版:2010/11/24)の本文より抜粋

この2軸があるだけで、かなり具体的に「バリューのある仕事」をイメージすることができます。ここで、再度、安宅さんの言葉をお借りすると、

「イシュー度」とは「自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」

と定義されています。これを言い換えれば、本当に今、答えを出す必要がある問題(いわゆる真因やRoot causeと呼ばれるもの)が何か、を見極めること、そしてその問題に対して徹底的に考え込まれ、具体的で、実現可能性がある打ち手を導き出すこと、この2つが揃って初めて「バリューを発揮した」ということになるということです。

この軸が定まると、バリューのない仕事というものが明確になるし、また、言葉の定義が分からずに「高いバリューを出す必要がある」などと言っている方々のパフォーマンス評価の見極めも簡単になると思います。
大概の方々は問題の深堀も浅いので、誰もが考える表面的な原因分析で止まってしまいがちですし、解、すなわちアウトプットも(そもそも真因がつかみ切れていないから仕方ないのですが)ポイントがずれていたり、またどうしても総花的であったり、フワッとした概念論にとどまり、読み手の期待値を超えるようなアウトプットには絶対になっていません。

以上、簡単にバリューのある仕事について、我々なりの回答をまとめてみました。そして、我々のチャレンジであり、使命もまたここにあります。イシュー度と解の質を伴った「意味のあるアウトプット」を生み出すことに自分たちの存在意義を感じています。最終的にそれをどれだけスピード感を持って提示できるか、そこに高い生産性が生み出されるものと確信しています。

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