クイックに理解する「EGC/JOBS法&FPIと米国IPO」

最近こそ、米国利上げに伴う投資家のリスク回避の動きから、世界的にIPOへの投資意欲が減退していますが、それまでは世界的にIPO熱がヒートアップし、日本企業からも米国上場(特にNasdaq のキャピタルマーケットをターゲットとした)を狙う企業が増えてきていました。

我々のような非米国企業が米国で上場するケースで、特に影響が大きい制度がFPI(Foreign Private Issuer)とEGC/JOBS法です。今回はこれらを選択した場合のメリットについて、できるだけシンプルにまとめてみました。

それぞれの制度の理解

【海外民間発行体(FPI)】

まず、FPIに該当する企業としては、発行済議決権付株式の少なくとも半分が、直接または間接的に非米国居住者によって所有されていること、または米国外を拠点とし、米国外で経営している会社(民間の発行体)を指します。継続的に少なくとも年1回、外国の民間発行体として地位が満たされるかどうかのテストが必要になります。

【JOBS法】

JOBS法は、新興成長企業への資本アクセスを改善することにより、雇用創出と経済成長を促進することを目的に、2012年4月に制定されました。このJOBS法は、既存の証券取引法および規制を緩和し、ベンチャー企業が私募ないしIPOを通じて、資金調達することを容易にし、コストを削減する機能を果たしています。

とくに有名なのは、”Emerging Growth Company “(以下「EGC」:新興成長企業)という新しい発行者カテゴリーを創設したことです。このEGCに該当すると、従来に比して資本市場へのアクセスがかなり改善することになります。

法律上、このEGCに該当する基準としては、

  • 直近の会計年度において年間総売上高が10億ドル(1,350億円:1$=135円換算)未満の発行体
  • 直近3年間の間に、10億ドル以上の社債(転換社債は除く)を発行していないこと
  • 一般に浮動株式が7億ドル(945億円)以下

の3つを満たす必要があり、適用される最大5年間、規程の適用免除など恩恵を受けることが可能となります。(なお、売上高が1億ドルに対していない間は6年目以降も継続してSOX監査は免除)

写真:freepik.com

EGC/JOBS法とFPIを選択した場合のメリット

FPI、EGC、及びFPIでEGCを選択した場合のそれぞれのメリットを一般的な米国企業がIPOをするケースと比較すると、以下のように整理できます。

特徴としては、FPIは開示義務に係る特例措置が適用できるのに対して、EGC/JOBS法はUS-SOXの適用除外など、実質的なIPOの負荷軽減を享受できます。よって、米国外の企業である日本企業で、かつ売上高が10億ドル未満の企業であれば、FPIとEGCの両方を選択できることになり、米国内のEGCよりもさらに簡便的にIPOが可能となります。

ただし、留意点としては、FPIとEGC/JOBS法の二重特例措置の恩恵を受ける場合、弁護士とSECとの協議交渉が必要であると言われています。


<備考>
※ Say-on-pay(役員報酬に対する株主承認制度)
企業経営者に支払われる報酬(PAY)について、株主が意見表明をする(SAY)という制度で、2010年に成立したドッド-フランク法により正式に導入されました。経営者報酬に関する議案が株主総会に上程され、それに対して株主が投票することとなる。

<参考文献>
「米国JOBS法による証券規制の変革」(金融商品取引法研究会 研究記録第40号)

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